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Izmic Be STUDIO
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スクール生徒の声

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演劇系受験生が書いた、好きな作品レポート 【面接対策にもなる】

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演劇系大学受験の面接では
「好きな作品は?」「好きな作家は?」という質問もあります。
スタジオ生徒のMさん
好きな作品についてまとめて、レポートにしてくれました。

〘『僕のジェミニ』鑑賞レポート〙

◆あらすじ
赤毛にそばかす、冴えない少年ジョン。
そんな彼の自慢は学園中の人気者、双子のジキルとハイドの親友であること。そして、お互いの真似をして遊ぶ2人を見分けられることだった。
ある日突然、双子の片割れジキルが亡くなってしまう。その日以降、ジョンには残されたハイドが時折ジキルに見えてしまい...。
本当に残されたのはどちらなのか──?

◆『僕のジェミニ』との出会い
私が『僕のジェミニ』と出会ったのは、ほんの数ヶ月前のこと。
近所の本屋を無心で練り歩いている時に、たまたま目にとまった試し読みを読んだのがきっかけだ。

まず表紙に一目惚れした。
繊細で優しいイラスト、どことなく感じられるアンティークな雰囲気、帯にある「ギムナジウム」という言葉の意味を調べるとヨーロッパの中等教育機関が舞台であることが読みとれた。
とにかく「私の好きな感じだ!!」と感動し、即購入を決めた。

最初に読んだ率直な感想は、「なんて切ない!苦しすぎる!!」だった。
いつも一緒にいた双子の片割れを亡くしてしまうというのは、どれほどのものだろうか。第三者の私には計り知れないほどのものだと思う。
作者の森川侑先生が描く美しいイラストにより、"双子が作りだす空気" というものが本当にキラキラ眩しくて、2人の別れをより一層辛辣なものにしているように感じた。

しかし、魅力はそれだけではなかった!
ここからは「僕のジェミニ」の世界をより深掘りし、そこで生まれた私の考えを綴っていこうと思う。

『僕のジェミニ』3つの魅力

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◆ 1つ目の魅力
この作品の1つ目の魅力は「双子だからこその葛藤」だと考える。

双子や兄弟を題材とした作品でよくあるシナリオとして、"顔が同じだからこそ感じる違いや差に苦しむ" というものがある。
この作品もこれに分類されるものだ。

クールでいつも冷静だが、甘え上手なハイドと上手く甘えられない自分を重ね、そんな自分にも無邪気に接するハイドを妬み、余計に自分の器の小ささや無力さを痛感してしまうジキル。
そして、明るくて人懐っこいが、大好きなジキルを自分が傷つけてしまったことや、それに気づけなかった罪悪感から、どうにかジキルを繋ぎ止めておこうと「お互いを交換する遊び」を提案するハイド。

この2人の関係はなんとも複雑である。

双子は、赤の他人や普通の兄弟よりも、顔という分かりやすい "共通点" があるからこそ比べられやすく、性格や雰囲気などのちょっとした "相違点" によって、すぐ "他人から好かれる方" と "他人から好かれない方" とで区別されやすいのではないかと、私は考えている。
無慈悲な他人からの評価が重なり、仲が良かったはずの2人の間にも軋轢が生まれ、想いが行き違い、この作品のような悲劇が起こってしまうのだ。
相手に本心を隠してしまうのは、相手への思いやりか、もしくは自分たちの保身のためか。 心にモヤモヤを抱えながら2人は遊びを続けていた。
この2人の繊細な心の内を描いた回想シーンは、読んでいて非常に歯がゆく、胸が締め付けられるような思いだった。

しかし、ここで転機が訪れる。

◆2つ目の魅力
ここで紹介する2つ目の魅力は「異分子との交流がもたらす好機」だと考える。

ジキルとハイドが、もう1人のメインキャラクターであるジョンと出会った。
ここで言う "異分子" とはジキルとハイドにとってのジョン、ジョンにとってのジキルとハイドを指している。

ジョンは自分の居場所を作るのが苦手で、人付き合いに失敗し続けてきたがために自分に自信が持てない少年だった。
しかし、ジョンだけが2人を見分けることが出来た。

そんなジョンとの出会いは、薄暗い道にいた2人を照らす一筋の光となる。

双子の「お互いを交換する遊び」は、真似のクオリティが高すぎるが故に、誰からも入れ替わりに気付かれず、ときどき自分自身ですら本当は誰なのかわからなくなることがあった。
それは、物語を読んでいる私でさえも。
自分が入れ替わっていても気付かれないというのは、"自分" が "自分" である必要がないような、自分の存在意義が薄れていくような、そんな感覚なのではないだろうか。
それはとても悲しいことだと思う。

だからこそ、2人にとってのジョンは、唯一 "自分" を見つけてくれる存在だったのだ。

そこから双子の2人だけの秘密だった「お互いを交換する遊び」は3人の秘密になり、自分の居場所が上手く作れず悩んでいたジョンも、ジキルとハイドのいる場所がジョンの居場所となっていったのだ。
よって、この交流は3人それぞれにとっての好機だったと言えよう。

◆3つ目の魅力
最後に紹介する3つ目の魅力は「最後の最後にようやく明かされる真実」だと考える。

「君と出会えたことを一生の幸いだと思っているよ」

これは、ここまで有耶無耶にされてきた真実がようやく明かされるラストスパートの場面で、ジキルがジョンに言ったセリフである。

そして、その後の告白で今まで散りばめられていた伏線が全て回収され、全ての点と点が繋がっていく。
また、真実を知ってからもう一度最初から読み返してみると、また新たな発見があるだろう。

さて、その告白とは一体なんなのか...?
それはぜひ実際に読んで確かめてみてほしい!

これから読む人には、まずは純粋な気持ちで読み進めてもらい、初見ならではの新鮮な驚きと感動を味わってほしい。
だから、あえて1番重要なところは伏せておこうと思う。

◆最後に
ここまでの説明で「僕のジェミニ」が単純な謎解き作品ではないことは分かってもらえただろうか。
これは、中学生の繊細な心が織り成す、脆く切ないヒューマンドラマである。
涙無しには読めない、感動系のお話が好きな人にはたまらないのではないかと思う。
1巻完結なのに読み応え抜群で、金銭的に余裕が無い学生にもオススメの1冊である。

これからもずっと大切に読んでいこうと思う。

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