目次
セリフ表現が上手くなる
1.五感の使い方
{うまいセリフ}ってどんなセリフだと思いますか?
役者の仕事の一つは、【作家の世界を伝える事】です。
つまり、作家が感じた世界の代弁者なのですから、作家とどれだけ同じように感じているかという事は重要です。
役者の身体を媒介にして、お客様が次に作家の世界を感じるという連鎖が生まれます。
作家とお客様の連携地点にいるのが役者です。
作家の書いた言葉(セリフ)を言うのが役者のお仕事ではありません。
それならお客様は本を読めば良い事になります。
生身の役者が表現すべきは、【五感】です。
文字に書かれてない行間を伝えるのがお仕事です。
そこが上手い役者が、セリフも上手いという事になりますね。
その為の基礎練習が今回のエクササイズです。
■やり方
① 与えられたセリフを、五感を使って分解してみましょう。
五感を使った説明を具体的にセリフに追加して読んでください
例)その道を歩いた
どんな道なのかを想像してセリフに追加します。⇒
・濡れた落ち葉が一杯で、ぬるぬるした、足を取られそうなその道を歩いた
となります。情景を丁寧に感じながら台詞を言います
② 情景を想像する
慣れてきたら、追加したセリフを省き、もとセリフに戻ります。
頭の中では、作り上げた情景や感じ方、五感を意識しながら台詞を言いましょう
③ 五感
見える五感 聞こえる五感 感じる五感 匂う五感 味わう五感
どの五感を使うかは、貴方のセンス次第です。
作家の世界観を再体現できるように作っていきましょう。
2.プランに走るのを防ぐ方法 感情の違和感を利用する
・同じ台本を何人かで読むと、必ず誰かと似てしまう
・同じような読み方が多い
・自分なりの新しい発想が出てこない
・セリフが当たり前の型にはまる
そんなことを感じた方は、このワークが最適です。
「このセリフは怒っている」
「この人は強気な人だ」
等など
台本を貰って最初の役の印象が強く思いこんでしまうと、役作りに関しても、先にプランをしてしまい、違う読み方がしずらくなり、新たな発見や気付きが遅くなります。
そんな「プランに走ってしまうタイプ」の方は、仲間と以下のエチュードをお勧めします。
■やり方
2人組みの短いシーン台本を何回か読む
その雰囲気を覚えておく(動画撮影などお勧めです)
次に、一人がセリフを言う直前に第三者が全く台本には関係なく、気持ちの支持を出す
・怒って・泣いて・驚いて・さげすんで・感謝して 等
役者は、その指示通りに自分のセリフを読んでいきます。
違和感が生まれますね。
と同時に、あれ?これでも成立するかも?
と新たな発見があるかもしれません。
発見が無かったとしても、それも新たな気付きです。
正解を求める方向ではなく、あらゆる可能性を試してみる練習方法です。
10回に1回でも、【これでも行けるね 面白いかも】という感情が見つかるかもしれません。
即興に強くなる
1.アイウエオ構文
即興でもリアルに表現するトレーニングです。
頭の体操にもなります。
レッスン頭で、仲間と一緒に行うとチームビルディングにも役立ちます。
こちらは、考えすぎを防ぐ稽古です。
自分の考えを否定せず、楽しむことが大切です。
文章がつながらなくても、ぶっ飛んだ文を作ってみましょう
一人ではなく、お友達と交互に行うのも楽しいです。
■やり方
一言の言葉から始まる短い文章をつなげていきます。
あいうえお
かきくけこ
自分の名前
好きな食べ物
なんでもOKです。
例)あいうえお構文
あ⇒明日は運動会だ
い⇒いつも寝坊するから気をつけなきゃ
う⇒うっかりしないように目覚ましかけとこう
え⇒えぇ~電池切れてる~
お⇒お母さぁん 電池あるぅ?
2.身体から心を動かす
演技のレッスンでは即興(エチュード)のワークがあります。考えすぎて、正解が見つからず立ち止まっしまう方もチラホラ・・・
台本が無い即興で作り上げていくエチュードが苦手な人多いですね。
何をしていいか分からなくなったり、黙ってしまったり、何を言えばよいかばかりを考えてしまう・・・
出来る、出来ないではなく、【やってみる】事が最優先!
心と身体の結びつきが意識しやすくなります。大学やマスコミ舞台などでも、度々オーディションでも課される「即興」
このレッスンで養われるのは
・直感を感じる力
・自分の内省から生まれてくる衝動の発見
・考えすぎを止める手段
・何事も受け入れる許容力
・不安を楽しむメンタル
等など
効果はキリがありません。
そのエチュードに望むための準備のエクササイズが今回のレッスンです。
一人でも出来ますので、是非チャレンジしてください。
感情の動かし方
1.行動から感情を引き出す
通常私たちは、心が大きく動いた後に言葉が出ます。
例) 美味しお菓子を食べた⇒「美味しいぃ~」と声が出て万歳する。
しかし実はこの逆でも感情は大きく動きます。
例) むしゃくしゃする、海に向かって大声を出す
「ばかやろ~」⇒気分がスッキリする。
例)落ち込んでいる時、思い切りスポーツして汗をかく
「楽しかったv~」⇒気分が明るくなる
行動を先に動かして、自分の感情が大きく変化することを実感できるはずです。
しかしセリフを貰うと先に思考やプランが先走り、どう言おうか考えてしまします。
そこで、今回は
1 座ったまま、最初にセリフ読んでみる
2 多くの動きを入れてセリフを読んでみる
3 自分の変化を確認する
と言うエクササイズを行いました。
参加者全員から面白い感想が出たのでその動画をアップします。
是非、試しにやってみてください。
2.表現が上がり楽しくなる
緊張が激しく演技が楽しめない片
表現力を上げたい方
声が出ない片
共感力や聞く力を上げたい方
このエチュードはとにかく楽しくなる演技の練習方法です。
頭で考えすぎてがガチガチで動けない時に参加者全員で行って下さい。
■やり方
一人が最近あった楽しい話を短くする
他の人が話に合いの手を入れて盛り上げていく
話す人も聞く人も、とにかくオーバーアクションでカラダ全身で演じてください。
上手くやろうとせず、思い切り振り切ってください。
演技を楽しむ感覚がつかめますよ
発想から演技をつなげる
1.身体から発想する
発想が苦手
セリフが苦手
動くのが苦手
貴方の苦手は何ですか?
苦手にドンピシャとアプローチできる練習方法のご紹介です。
ペアで行いますので、お互いに楽しみながら行いましょう。
■やり方
A イメージを言葉で一言伝える
B その言葉からイメージしたことを瞬時に身体で表現する(ポーズを取る)
A どのように動き出して欲しいか支持を出す
笑って、走って、振り返って、泣きながら、驚いて、座り込んで 等
B その指示通りに演技を始めましょう
Aの支持は脈絡が無くて平気です。
Bの人は言われたままに、先ずは動き出してください。動きながら調整していきましょう。
コツは最初からうまくやろととしないで、やっていきながら調整するつもりで、先ずは動くことを優先させてください
自分の考えではなく、他者からの指示なので、予想外が来ます。
出来なくて当然なのです。
楽しみましょう。
2.違和感をものにする 身体と心の深い関係
・誰でも読みそうなセリフ表現から抜け出したい!
・人にない発想がしたい!
・当たり前な演技を変えたい!
・セリフが面白くない
台本を貰って読むという課題多いです。
しかし、つい、他の人の読み方や、きっとこう読むよねと言った、潜在意識が働いて、結果面白みのないセリフになってませんか?
どうやったら、違う発想でセリフが読めるのか?
そんなお悩みを解決できるエチュードのご案内です。
それは【やりやすさ】ではなく、【違和感】を味方にする方法です。
例)怒るポーズ
例えば、全身に力を入れて、片手を振り上げて「この野郎」と言います。
その返事として、土下座して「許して」と言います。
同じセリフなのにポーズを逆転させてみてください
土下座して「この野郎」
片手を振り上げて「許して」
等です。
言葉と身体表現に違和感が出ます。
その違和感を感じたり、その違和感が思いのほか使えたり...
様々なポーズを思い切って使ってみましょう。
身体から感情が湧き上がる感覚や、そのつながりを意識していきましょう
■やり方
台本から感じる役のステイタスと真逆のステイタスでポーズを取ってみる。
そのポーズと台詞の間に生まれる【違和感】を感じたら、その違和感を言えるようにする内面を考えてみよう。
当たり前⇒違和感
このアプローチから役を見ることで、固定概念から抜け出すキッカケをつかんでいきましょう。
違和感の動画近日公開
まとめ
演技が上達するために欠かせないのは、才能でも特別な環境でもありません。
「感じて、考えて、行動する」日々の積み重ねです。
今回紹介したワークは、セリフを"覚える"ための練習ではなく、
**「言葉に命を吹き込む力」**を育てるためのトレーニングです。
即興での反応や発想の自由さ、相手と呼吸を合わせる感覚を磨くことで、
舞台でも映像でも、あなた自身の"生きた芝居"が生まれていきます。
演技の道に終わりはありません。
だからこそ、焦らず、比べず、自分のペースで感性を育てていきましょう。
今日の小さな気づきが、未来の大きな表現力につながります。
「演技上達のコツ」シリーズ第5弾はここまで。
次回は、さらに一歩踏み込んで「感情の解放とコントロール」をテーマにお届けします。
あなたの中の"役者の芯"が、もっと輝きますように。
この記事を書いた人

IZUMI(玉置いづみ)
【IZMIC Be STUDIO】主宰
日本大学芸術学部演劇学科演劇コース卒業
元(㈱)アミューズでの新人育成講師
演技・ダンス・体幹トレーニングと幅広く指導に当たっている
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